in theクローゼット

side-篠塚愛子

  * * *


 終業式から三日が過ぎ、私は最高のクリスマスの朝を迎えていた。

 枕元の携帯電話が目覚ましよりも早く鳴り、私はやや不機嫌に眉をひそめながらそのメールを開いた。


『今日、暇してる? 予定あいてるなら、デートしよ!』


 サンタさん、ありがとう!

 舞からのそんなメールに不機嫌な気持ちは一気に天まで昇りつめる。

 叫びだしたい気分で、私は直ぐに舞に返信する。

 もちろん返事はOK。

 普段は使わないハートの絵文字に気持ちをこっそりの忍ばせて、送信ボタンを押した。

 デート言っても恋人同士のデートではなく、仲の良い友達と遊びに行くのを面白がってそう言っているだけなんだけれど、それでもドキドキする。

 舞と買い物に行くのは久しぶりだな。

 私は何を着て行こうかとクローゼットの扉を開ける。

 薄暗いクローゼットの中が部屋の明かりで照らされて、ハンガーに掛かった色とりどりの服が私を出迎えた。
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