にせパパ、はじめました。
「ふっ冬!ちょっと待て!」


あまり広くないこの街のこのデパートで、知人と会う事は想定していた。

それをどう対処するかもちゃんと考えてた。


……………でも



「え……何で…?早く入らないと寒いよっ!」




その対処法を、冬に潰される事は考えてなかった……


ちょっとやんちゃだな、とは思ってた。思ってたけども!!


「いや、あの、実は……知り合いがいるんだよスグソコニ…」


約3m先に。



しかもよりによって、俺の事を避けてる西城。


…ああ、ダメだ。

もう言い訳を考えないと。


…………実は妹で……いや、パパって言われるよな……いとこです…?…ダメだ……これもパパって呼ばれたら………もういっその事全部話そうか……?でもなぁ………それはそれでアウトだし……



「………!」


………でもいい方法無いしな……一番はそれだけど……あ、冬にパパって言うなよって言うか…?……いや、絶対言うよな………



「……き、如月…くん………?」



「へ……あ、さ、西城…!?」


色々考えてるうちに、もうバレてしまった……


「ぐ、偶然だね………買い物?」


「お、おう………ちょっと買い物をしようかなって……はは…」

嘘つけ。

今からバリバリ買い物する気のくせに。


「………?ねぇ、この人誰?パ…「さ、西城は何?やっぱ買い物?」…むー……」


危ない危ない。

無事に阻止出来た。


「……………わ、私は………」


何かを言いかけて、口を閉じる西城。



……?


やっぱり俺、何かしたんだろうか…?




「……………うち……







家出…………………しちゃったんだ」


















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