にせパパ、はじめました。
・
「…ごめんね、奢ってもらっちゃって……」
数分後、俺達は店を出た。
ここからはさすがに3人で行動は危険(知り合いにあったら終わり)なので、西城とはここで別れる。
「いや、別に大丈夫。気を付けろよ」
そう言うと、西城は「ありがとう」と言った。
「冬、またパパとママに会いに行くからねっ!」
「うん、ふふ、ホント冬ちゃん可愛いね」
可愛いもなにも、初対面の相手になんてこと言うんだ……
女子から見たら、可愛いんだろうか…?
「それじゃ、また学校で」
「ああ、じゃあな」
軽く挨拶をして、俺達は別れた。
所持金は別に大丈夫だが、時間がもう少ししかないな……
「ほら、早く行くぞ冬、時間がない」
「うん…」
………?
「どうした?」
「!な、何でもないよ!早く行こ!」
一瞬、冬の顔が曇っているように見えた。
気のせいだろうか。