にせパパ、はじめました。
何とか誤解を解き、簡単に、冬の事を説明した。
「………公園で、遊んでたところを………そうだったの…」
ただ、倒れていたことは秘密にしてある。
心配性の彼女のことを考えて、だ。
「…冬っていうお名前、パパがつけてくれたんだよ!自分とお揃いだからって!」
紅茶を飲みながら、冬は嬉しそうにそう言った。
「へぇ………良かったね」ニコッ
「…あー、その、お揃いだからってのは、俺が夏だから、季節の名前で……ってことな」
西城は「夏………くんかぁ」と言うと、コーヒーを一口飲んだ。
大人だな。
俺も、カフェオレ飲も。
「………ママ」
………そう言えば
冬のやつ、なんで西城をママって……
「ママ………
パパのこと、好き?」
ブッ
「ゲホゲホッ!なっ、ふ、冬!?」
「え………と、あの……………え?」
そりゃそうなるよな!!!
また冬はいらんことを………………
「…違うの?ママ、パパのこと好きじゃないの…?」
…な、なんか、目がウルウルしてないか?汗
冬は西城をじっと見つめている。
口についた紅茶が、ライトに照らされて光っていた。
「……」
しばらくの沈黙。
「…………………好き、だよ」
え?
「………友達として、ね…」
そう言うと、西城は少しだけ微笑んだ。
「…そうなんだ!良かったねパパ!」
「え、お…おう…………サンキュ…」
友達として。
………そりゃそうだ。
だってまだ会ってから、数日しか経ってないんだから。
…そう、たった数日。
まだ、西城のほんの少ししか知らない。
だから
「パパ…?」
この、胸の鼓動は
きっと
気のせいだ。