愛に溺れる
『こんにちは。』



彼は確かにそう言った
微笑みながら親しげに…。

私はそれどころじゃないくらい
パニックで涙を流しているのに



この人はどこか

おかしいんじゃないかと思う。



口を抑えられ、両手を封じられ
足さえも固定され、恐怖心しかない。




『泣いてるの………?』




当たり前である。
見てわかって状況考えてください。



すると、男の人はゆっくり
顔を近づけてきた。

そして、私の流している涙を舐めた
一回だけじゃなく何度も何度も…。



『んん………んぅ……。』



抵抗しようにもうまくいかず、
時折、チュッと音を鳴らしながら行為を続けた




『ふふ、しょっぱいねぇ…。』




声からして優しげに。

でも怖いものは怖いのだ、



しかし彼の行為は止まらない。



舌のザラザラした感触に
身震いをする。



『んぅー。んぅぅっ。』



言葉にならない叫びと共に
首を振り行為から逃れようとした。



しかし、彼の声のトーンが下がった。




『大人しく………しなよ。』




低い声で囁いた男の人は
顔を下に向けて首元に噛み付いた。

歯を突き立て歯をくい込ませる様に



『んぅぅぅうう。』



あまりの痛さに目を瞑り
歯を食いしばり涙を流した…。




『ん…は、はは。
血だ…血がてできちゃったねぇ。』




そう呟いた彼は楽しそうに
血が出ているであろう首元に口を寄せ

噛み付いた所を舐めてきた

染みるような痛いような
どれでもないよう…な、そんな感覚。



麻痺しているのかと思うような。





『お兄ちゃんの言うこと聞こうね。』




お兄………ちゃん………?




っと思ったのと同時に


男の人は噛み付いた所に吸いついてくる
そして空いている手で胸を撫で付けてきた



突然のことに肩がはねた。



『あは……敏感……。』



男の人は新しい玩具で
遊ぶように微笑んだ…、




何故こうなったのか



答えのない問いに苦しみ



私はゆっくりと闇に逃げ込むように
意識を手放した。
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