愛に溺れる
青年
誰もいない家に着いた。

鍵穴に鍵を入れる…ガチャっと
音が鳴る筈なのにおかしい…


鍵が………鍵がかかっていない…?


恐る恐る、玄関の扉を開ける、
お父さんかと思って扉を開けると

そこには知らない靴があった。




一足の男性のものの靴。




スーツで出かける父のではないもの。




知り合いか親戚か考えたけれど
家に勝手に上がるわけないし。


来ると言う話も聞いていない。




泥棒じゃないのもわかってる
靴を丁寧に揃えて行く訳が無い。



ゆっくり自分の靴を脱ぎ、リビングに向かう



誰もいない…。



それから私はくまなく1階を探した。



靴の持ち主は見つからなかった。



ランドセルを背負ったままなので
2階にある私の部屋に向かう。



誰かいるかもしれないので
ゆっくりの動作で進む。


部屋の前に着き、息を吐き



ドアに手をかけゆっくり開ける。



開いた時には誰もいなかった。



ホッとしたのもつかの間
突然力強い手引っ張られた



ドアの視界に入り見えなかった
ところからの突然の手に驚く間もなく


掴まれベッドに投げ飛ばされた。



叫ぼうとしても口を抑えられ
動こうにも横向きに倒れランドセルの
重みで起き上がれず、



そこに男の人が覆いかぶさるように
私を押し倒してくる



横向きになった私の両手を
片手で抑え両足を相手の足で挟まれ
体重をかけられた


動けない程度なので痛みはないが
重いものは重い、動けない恐怖





『こんにちは。』





にっこり微笑んだ男の人に
私はただ涙を流すしかなかった………。





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