【完結】遺族の強い希望により
「どうもこうも、しばらく文通したあとジェシカからの手紙が途絶えて自然消滅よ。ちょっと切ないっていうか、玲奈のお父さんのこの頃の本気が伝わってくる分、なんだか……」


可哀想ともやるせないとも思ったが、玲奈の手前その言葉は飲み込む。
とにかくこどもは出来てなかったのだから、玲奈にとっては良かったのだ、とみのりは自分に言い聞かせた。


が、「こどもはいないって?」と念を押すように亮が聞き返してくる。
その問いかけを不思議に感じながらみのりが頷くと、亮は今度は玲奈にも確認するように顔を向けた。


それから蒼白になって、しばらく逡巡したように視線を彷徨わせた後に彼は言った。


「だけどジェシカは出産してるぞ」

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