【完結】遺族の強い希望により
母は青い顔をしていた。
それが、自分がいかに事態を甘く見ていたのかを思い知らせた。

確かに幸福を感じていたはずなのに。
もう何も怖いものなどないと思っていたはずなのに。


その時みのりは、下腹部にどろりとした違和感を感じた。
ぎくりとした。
生理が止まってからもう長く、その感覚は久しぶりのものだった。

病院へ行くタイミングは、色々と調べて次の週と決めていた。
早すぎると胎児がエコーにも写らないらしいし、あまり早い時期からおかしな動きをして周りにばれたくなかったのでなるべく引き延ばしていた。
だが、市販の検査薬で日を改めながら3回も調べたので、妊娠しているのだけは確かだった。

それなのに今、何故。

衣服越しなのに、鼻につくような鉄の匂いを感じた。
下着を濡らしたのは明らかに血だった。
長年付き合ってきた感覚なので間違いようがない。
生理が来るはずはない。
ではこの出血は、一体何なのか。
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