【完結】bitter step!
不安だった気持ちが爆発して、心の中で呟いたはずの疑問が、責めるような口調で飛び出してしまった。

ハッとして目を覆っていた腕をどけて頭を起こす。
ボクを見下ろす響先輩の瞳が、揺れていた。


「ごめ――、」


先輩が言いかけた謝罪の言葉を途中で飲み込んだのは、多分、ボクのためだ。
優しい、優しい人。

『そばにいなくてごめん』と言ってしまったら、ボクがそれを望んだことになるから。


でもボクは、多分――それを、望んでいたんだ。

助けて欲しかった。
甘えてはいけない相手だと、分かっているはずなのに。


すがりつくように身体を寄せて見上げると、視線を合わせるために屈んだ先輩の顔が近づいた。


「大丈夫?」
< 435 / 707 >

この作品をシェア

pagetop