secretkey~内緒のドアを開ける君~
「野暮でしょそんなの水瀬」
触れたいけど壊れそうで
水瀬の頬に指を滑らせる
「さっきからなんだよ」
「水瀬あのさいなくなったりしないよな」
「おまえじゃあるまいし」
「水瀬がいなくなったらココア飲めなくなるし」
「俺はココアをいれるだけの存在か?」
俺は日向の愛用のマグカップを手に取る
「ちょい待ちまだ残ってる」
必死に取り返そうとする日向がなぜかかわいく思える
「冷めちまったろ入れ直してくる」
「それがいい」
しかたなく日向にマグカップを返してやる
キッチンに向かう水瀬の背を見ながら徐々に周りを見渡していく
本当になにもないんだなぁこの部屋
キッチンの冷蔵庫を開ける音がしたかと思えばいきなり何かを投げつけられた
「なんだよ水瀬」
「相変わらず反射神経はいいよなおまえ
フリスビードッグとかに転職したら?」
投げつけられたのは菓子パンだった
「俺は警察犬なの」
「ふ~ん」
にやりと笑った水瀬はそのままシャツをはらりと脱ぎ捨てた
「水瀬?」
「シャワー浴びてくる」
別に期待なんてするつもりもないがドキドキがとまらない
水瀬がシャワーを浴びてる間、テレビをつけた
普段ならあまり気にしないニュース
そこに映っていたのは警視総監就任の祝辞を述べる室井だった
「この声···」
あの日、俺が聞いたのも君は悪いことをしていたわかるかい?
違う悪いことをしていたのは俺じゃない
あの日、銃を撃ったのは···
手を伸ばしてマグカップを取ろうとして手から滑り落ちる
「あっ···」
派手な音がしてマグカップが割れてしまった
それと同時に水瀬の携帯が鳴る
悪いことだと知りながらそっと電話に出た
「もしもし」
「日向くんのほうか
これから食事でもどうかな?」
「あんた誰だ」
「君は知っているはずだよ」
「···」
「表で正しいことをし裏で闇を牛耳る
なんて騙されやすいんだろうかメディアは」
「室井さん」
「ご名答
だが君が真実にたどりつくにはまだ早いんだよ」
そこまで言うが早いか横合いから手が伸びてきた
「生憎だな」
「水瀬くんか」
ごめん···俺は心の中で呟いた
そして机の上に放り投げてあった銃を水瀬に向けた
携帯を置いた水瀬が目を見張る
「悪い冗談だよな」
「知りたいんだ何もかも」
「はぁ?」
「水瀬はずるい全部わかってたんだろ
利用したんだ俺のこと」
「なに言ってんだよワンコ」
俺は日向のほうに歩きだしていた
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