secretkey~内緒のドアを開ける君~
「来ないでお願いだから水瀬」
「おまえなにが知りたいんだよ」
「水瀬は忘れたの?」
「なにを?」
「自分の父親が誰に殺されたかを」
「覚えてないな」
「覚えてないんじゃない
水瀬は見てたんだ
でも子供だったから忘れようとしたんだ」
「かもな」
「水瀬は俺と会ってたんだよ」
「だとしたら?」
「俺が憎くないの?」
「なんで?」
「もし俺が···」
「殺すわけがない」
「殺したんだ」
「なら撃てよ」
「えっ···」
「あの時と同じように」
水瀬は鼻で笑ってシャツを着て車の鍵を取った
「水瀬バカにしてる?」
撃つつもりなんて本当はないけど水瀬に認めてほしくて俺は引き金に手をかけた
水瀬はゆっくりと俺の方に歩いてきて俺を抱きしめた
「バカにしてるつもりはない
悪かったな」
乾いた音がした
「水瀬···なんでだよ」
「バカ犬、引き金···半分ひいたら撃つんだよ···
これでおまえの気持ちが落ち着くなら···それでいい」
「水瀬」
銃が床に滑る
俺はどうしていいかわからずその場にへたり込む
「バカ犬··」
「水瀬」
子供のように泣きじゃくることしか俺にはできない
でもはたと気づいて救急車を呼ぶ
その間に俺は室井さんのところに行くために水瀬の携帯を持ち外に出た
「もしもし」
「君はやはり利口だね」
マンションから出て歩いていると一台の黒い車が横付けされた
「こんばんは日向くん」
俺は窓を開けたのが室井さんだということを確信して車に乗り込んだ
「改めて室井だ」
車の中で簡単な自己紹介をして俺はきりだした
「知ってることぜんぶ話して」
「水瀬くんはなにも言わないか?」
「水瀬は言わない」
「あの日、君は追われてたんだ警察に
君はとある年少組のひとりだった
更正させようとしたのが水瀬くんの父親だ
だが君は逆らった
自分じゃないと言い張ったんだ
だから教えてやったんだ正義を正すのは自分だとね
だから君は引き金をひいた
当たったのは水瀬くんを守ろうと走り寄った水瀬巡査官
彼は正義感のかたまりのような男だったな
逆上した息子は君を撃とうとしたけれど父親がそれをとめた
君は私に逮捕され逃がされた
水瀬くんとの記憶を忘れてね
水瀬くんも君の顔は直接みてなかったのかもしれない」
その時だった車がすごい勢いで停まったのだ
バンと凄い音がしてボンネットを叩く音がした
「まだ話しはあんだよバカ犬」
「水瀬···」
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