secretkey~内緒のドアを開ける君~
「別にいいだろ」
「ワンコくん海くんとなにかあった?」
「えっ?」
「いつもより距離を感じるんだよね~距離を」
「気のせいだろ」
水瀬が否定すると俺も頷いた
「ならいいけどじゃあ私これから現場だからじゃあね
どら焼きごちそうさま」
千夏が去っていくとまた部屋が静かになる
「なんだよ押し黙って」
「怒らないよな」
「時と場合による」
「桜さんのことなんだけど」
俺は言葉につまりながらもゆっくり吐き出した
「水瀬には渡すなって言われてて
自分から渡したいって
でも無理かもしれないから預かってって」
俺はネクタイを外しシャツのボタンを外して首からさげていた十字架のネックレスを水瀬に手渡した
「なんだよこれ」
「だから桜さんの遺品」
「おまえいつ渡された?」
「桜さんが死ぬ3日前」
水瀬の拳が俺の横をすり抜け壁に当たった
「おまえ本当にいい度胸してるよ」
「怒ってるよなごめん」
「日向、消えろ二度と来るなバディ解消だ」
「行く場所なんてない」
「おまえは元々、野良犬だろ」
水瀬の拳は迷うことなく俺の頬を打った
野良犬その言葉が強く突き刺さった
「ごめんでもそばにいたい」
「日向、むしがよすぎんだよ人の女に手をだしといて」
「違う」
「なにが違うんだよ」
胸ぐらを掴まれ壁に叩きつけられた
「なにもしてない」
「はあ?誰にでも尻尾ふりまくるバカ犬のくせにか」
水瀬が振りおろした拳が当たる寸前、俺は呟いた
「やめて殴らないでいい子でいるから父さん」
水瀬は乱暴に俺を振り払った
「消えろ」
俺は這いずりながら水瀬の足にすがりついた
「水瀬」
手に激痛がはしり見れば水瀬が足で踏んづけていた
「なんなんだよおまえ
頼むひとりになりたいんだ」
「水···瀬お願い」
「ったくなんなんだよおまえ」
「わかんないけど一緒にいたい」
立ちあがって廊下に出ると閉められたドアの前にしゃがみこんで膝を抱えた
俺には小さな時の記憶がない
水瀬と出会った時の記憶しかない
それまでどこでなにをしてたかよく思い出せない
雨の日いつものように路地裏でゴミを漁っていたら店の店主にからまれ瀕死の状態のところを水瀬に救われた
「おまえなにしてんだ?人間だよな」
そのあと水瀬は飯を食わせてくれて今の住居を与えてくれた
警察学校に通わせてくれたのもバディにしてくれたのもみんな水瀬だ
今の地位があるのは水瀬のおかげなのだ
「水瀬···」
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