secretkey~内緒のドアを開ける君~
「バカ犬」
こつんと日向の額を叩いてドアを開けてやる
あまり何もない部屋なため片付けがさほどいらないので散らかってるというイメージはなく洗練されていた
「日向、風呂場に行くぞ」
言われるがまま風呂場まで来たがどうにも苦手だ
「水瀬···」
「大丈夫だから」
もたもたと服を脱ぐ俺にしびれをきらせたのか水瀬はタバコに火をつけた
「どうしても入らなきゃダメ?」
「おまえいくつだよガキじゃあるまいし」
「なぁ俺っていくつなんだろ」
「はあ?」
めんどくさいの「はあ?」だ
とりあえず服を脱ぎ躊躇してる俺の手を引きお風呂のドアを閉めた
「キライなんだ水」
「とりあえずそこ座れ」
「あっうん
ごめんなにも思い出せないままで」
「さっき俺が殴ったときおまえ言ってたよな」
シャンプーを泡立てて俺の髪を洗いながら水瀬が言う
「よくわかんねぇけどたぶん虐待されてたんだと思う」
「おまえ本当に思い出せない?」
「日向直人って名前すら危ういんだ」
後ろでため息が聞こえたがすぐにシャワーの音にかき消されてしまう
「後は自分でできるよな」
「たぶん」
水瀬は苦笑いのままバスルームを後にしていた
俺は日向をバスルームに置いて自室のパソコンをつけた
日向直人で検索をかけてみる
あまりあてになどしてなかったせいかやはり情報もまちまちだ
その中で気になる記事があった
児童保護施設ひまわりの卒園者に日向の名前があった
「まさかな」
俺はタバコを灰皿に押しつけて着替えを持って風呂場に向かった
風呂場ではびしょびしょの日向がタオルと戦っていた
呆れて頭から別のタオルでがしがしと拭いてやる
着替えるとやっといつもの日向になる
「風呂なんかキライだ」
「キレイになったんだから文句言うな」
「文句じゃねぇし」
「わかったから
飯なにがいい?」
「食いもんならなんでもいい」
日向はぼーっとテレビを見ながら言う
日向は食べ物なら基本的に拒まない
好きとかキライとかあるのだろうか
「水瀬」
「ん?」
「なんでもない」
「おまえなぁ迷惑かけちゃいけないとか思ってないか?」
「水瀬、優しいから
俺あまえたら抜けだすの下手だし」
水瀬の手が優しく頭を撫でる
ヤバい好きすぎてどうにかなりそう
「んでなにが食いたいんだバカ犬」
「ココア飲みたい
水瀬がいれたやつ」
「変な奴」
「ミルク多めが好きなんだ俺
あと···コンビニのおにぎり」
「おまえなぁ」
額に手をやる水瀬
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