あなたに願いを青春を…
小学6年生になり、ついに私にも春が来た。
相手はあの転校生の優斗だった。
彼とはじめて別のクラスになったとき、彼の存在が急に気になり始めた。
気になり始めてからは一緒に下校したりして、距離を縮めていった。

しばらくたって、優斗と二人で下校しているときに、私は思いきって彼に訪ねてみた。

瑠夏:「優斗はさぁ、その好きな人はいるの
?」

優斗:「…。いるよ」

瑠夏:「えっ?誰?」

いつもの別れ道の交差点で立ち止まり、しばらく沈黙が続いた。

私はどきどきした。
優斗:「…。」

瑠夏:「あぁ~。やっぱりいいや!」
「ごめんね。急に変なこと言って。忘
れて。じゃあね。」
私はその答えを聞くのが怖くて逃げた。
何となく自分のような気がして、どうしたらいいのか急に分からなくなった。

しばらく歩いて振り返ってみた。
彼が私を見つめていた。

そして、手招きされたので交差点まで戻って行った。

瑠夏:「どうしたの?」

優斗:「…。俺が好きなのは…」
「6月15日の人!じゃっ‼」
そう言って彼は走って帰って行った。

瑠夏:(えぇ~!?6月15日って誰もいないし‼
ってか。私の誕生日、7月15日だし
~‼)
彼は間違えていた。


翌朝、彼と廊下ですれ違った時にぼそっと言った。
瑠夏:「誕生日。7月15日だし…」

そう言って自分のクラスに戻った。


掃除の時間になり、担当の調理室に入ろうとしたとき、先に来ていた低学年の子たちが騒いでいた。

「ねぇ。何か黒板に書いてあるよ?」

瑠夏:「えっ?」

入って黒板を見てみると、そこには…。

俺が好きな人は7月イゴの人だ‼

と書かれていた。

「誰が書いたんだろうね?しかも、イゴっ
てどういう意味なんだろう?」

私にはそれが優斗が書いたものだとすぐに分かった。

瑠夏:「さぁ~ね。誰だろうね」
そう言って、すぐに黒板の文字を消した。


放課後、彼のところに行った。

瑠夏:「調理室の文字読んだよ」

優斗:「そう言うことだから…」

瑠夏:「ありがとう」


それから、手紙のやりとりをした。
もちろん、周りに気づかれないように、放課後の図書室でこっそり二人で。


でも、そんなやり取りは長くは続かなかった。
彼に新しく好きな人が出来たからだった。
相手の名前は明菜。
優斗の家族と家族ぐるみで仲良くしている子だった。
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