睡恋─彩國演武─
異形に向けて切っ先を振りかざす。
そしてもう一度、今度は急所目掛けて剣を突き刺した。
その瞳に情けなどない。
「私は、同じなどではない。──言っても言わずとも、結果は同じだがな」
引き裂く様な断末魔と共に、刺した箇所から光が溢れ出した。
溢れた光は、天へと舞い上がってゆく。
「ありがとう」
最後に小さく聞こえたのは、紛れもなくセリカの声だった。
その光は異形の体を包み込むと、小さな光の粒となって森に降り注いだ。
「……終わった……」
安心すると、力が抜けてその場に倒れそうになる。
それを、誰かに支えられた。
「大丈夫ですか?」
見上げれば、碧の瞳と目が合う。