睡恋─彩國演武─





廓に戻り、部屋の戸を閉めると同時に深いため息を吐きながら、藍はがっくりと項垂れた。


「大丈夫……?」


心配して声を掛ける千霧に、力無く返事をする。


「……大丈夫じゃない」


髪の毛をがしがしと引っ掻くと、彼はパッと顔を上げて鏡台の前まで移動した。


「今日は血色悪いし、髪の艶もダメダメ」


「は?」


「アイは僕の分身なんだから、綺麗なのは当たり前なの。──でもこの顔色、絶対に皆うるさいよ」


まじまじと自分の顔を観察する藍。

ああでもない、こうでもないとブツブツ呟きながら、眉間に皺を寄せている。


「──十分、綺麗だと思うけど」


千霧が何気なく口を挟むと、藍はぴくりと反応した。


「十分……?」


「う、うん、そう言った──」


スッと無言で立ち上がり、藍は千霧に顔を近付ける。

間近で見る彼は、千霧の目から見ても本当に美しかった。

シミ一つない白くてきめ細かい肌、長い睫毛に、小さな鼻と口。

一体今に至るまで、何人を魅了して来たのだろう。


「あー悔しい。千霧は自覚が無いんだよね」


「自覚?」



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