睡恋─彩國演武─
「──正気?」
「呉羽がそうなら私は何も言わないけれど。……知らなかった」
「俺……知っちゃいけないことを知ってしまった気がする……」
三人は口々に呟く。
その様子に何かを悟ったのか、呉羽は急に顔を紅くして訂正する。
「待ってください。何か誤解を招いたようですけど、別に男が好きなわけでは無いですよ……?」
「じゃあどういう意味なんだよ?」
「ですから、本当に興味が無いんです!色恋沙汰には──」
呉羽が珍しく必死になるので、藍もからかうのが楽しいようだ。
「なんだか、少し勿体ないね。私が女だったら残念に思うかもしれないな」
千霧は何気なく口にしたのだが、呉羽は口を押さえてさらに顔を紅潮させる。
「──どうかした?」
「い、いえ何でも……っ」