睡恋─彩國演武─
*
星麟から青城まで、さほど距離はない。
数時間、道に沿って歩けばそこはすでに城下だった。
そして今、由良は目の前に出された湯気のたつ饅頭を頬張っている。
「よく食べるね」
「おいひぃでふよ。王子も食べ……」
「遠慮するよ」
その隣に座って、藍も水蜜桃に歯をたてる。
青城の城下は賑わっていた。
活気もあり、店が沢山並んでいる。
千霧に害をなす気はおよそ感じられない。
特に味わいもせず食べていると、由良がやっと口内の物を飲み込んで息をつく。
「ふう……。こんなに食べたの初めてです」
「だろうね。ま、好きなだけ食べれば?銀子ならいくらでもあるんだし」
「い、いいえ!これ以上王子にそんな迷惑は……」
「別に、君が痩せすぎだから太らせてるだけ。白樹でろくなモノ食べてないんだろ。──見ればわかる」