睡恋─彩國演武─
*
辺りは静かだった。不気味なほどに、静寂に包まれていた。
今は虫の声もしない。
「一人も……いない……?」
蒐の部隊は、連絡のあった場所に待機していたが、誰一人逃げ延びては来なかったのだ。
捜索もさせたが、見つかったのは無惨な死体のみ。
結局、生き残ったのは千珠が保護した少年だけだった。
千珠は目を伏せて報告を聞いていたが、視線を泳がせた際に蒐と目があった。
「その子供……」
蒐は千珠に抱えられた少年を見るや、険しい顔つきになる。
「異形の匂いがする……」
「当たり前じゃないか。今まで異形に襲われていたんだから」
「否、そういう意味ではない。──その子供自体が匂う」
「莫迦な。天夢が今まで大人しく背に乗せていた。この子は人間だよ」
それから暫くして、珀の命令で城へ帰還することになった。
少年は、珀の計らいで千珠の部屋に通された。