睡恋─彩國演武─
先程の蒐の様子が気になってはいたが、一方的に決めつけるのは嫌だった。
少年の服が血まみれだったため着替えを用意してもらい、食事もさせた。
「──オイラをここに置いとかない方が良いよ」
初めて聞く少年の声は、震えていて、弱々しかった。千珠は少年の座る長椅子の隣に腰を下ろすと、彼の言葉を聞いた。
「……なぜ?」
「オイラの居る場所は、必ず異形に襲われるんだ。さっきみたいに……っ!」
やっとの思いで絞り出しているのか、それは悲鳴のように聞こえた。
「ここは平気だ。──だから、怖がらなくていい」
「……え?」
少年はぱっと顔を上げると、子供らしい丸い目で千珠を見た。よほど驚いたらしい。
「ここは皇の加護を得る場所だ。異形は入って来られない」
「じゃあ……オイラ、ここに居て良いってこと?」
少年の問いに、千珠は頷いた。この部屋に居るだけなら、他に迷惑は掛からない。
何より、この少年のよほど傷ついた風を見れば、追い出すことなど出来なかった。