睡恋─彩國演武─
思い出すのもおぞましい、というように、火麟は首を振る。
「故意では無かった。けれど、多くの血が流れたのは事実ですから」
それは、父である王を庇護する言葉ではなかった。
火麟はありのままを述べただけで、その事は全員が理解していた。
「──滅びると思われたあの国を救ってくれたのは、青い龍でした」
青い龍。
その単語に、真っ先に反応したのは呉羽だった。
「その青い龍、貴方も見たのですか?」
「ええ。今でもあの光景、姿、はっきりと思い出せますよ」