睡恋─彩國演武─

藍の言葉には棘があった。

だが、そう口にしながら、藍が泣きそうな顔をしているのを見ると、呉羽は諭すことができなかった。

藍は誰より、その側室と子供を哀れんでいるのだ。

彼自身が幼い頃に受けた扱いもまた、その言動に影響していた。

「私も同意見です。父は薄情でした。──理由があったにせよ」

火麟は眉を寄せた。

「側室は異形だったんですよ。それによって弟も異形の血を引いて生まれた。──それが青城へ禍(わざわい)をもたらした。業の深いことです」

「禍?」

「ええ。弟には異形を惹き付ける能力があるようで、青城は一時、異形の巣になりました」

< 321 / 332 >

この作品をシェア

pagetop