睡恋─彩國演武─
藍の言葉には棘があった。
だが、そう口にしながら、藍が泣きそうな顔をしているのを見ると、呉羽は諭すことができなかった。
藍は誰より、その側室と子供を哀れんでいるのだ。
彼自身が幼い頃に受けた扱いもまた、その言動に影響していた。
「私も同意見です。父は薄情でした。──理由があったにせよ」
火麟は眉を寄せた。
「側室は異形だったんですよ。それによって弟も異形の血を引いて生まれた。──それが青城へ禍(わざわい)をもたらした。業の深いことです」
「禍?」
「ええ。弟には異形を惹き付ける能力があるようで、青城は一時、異形の巣になりました」