睡恋─彩國演武─



急な悪寒に目が覚めた。

身体中を這い上がるような寒気に、身震いする。


「うぅ……ぁああぁ!」


同時に強烈な頭痛に襲われ、体が跳ね上がる。


『イタイ』

『タスケテ』

『タスケテ』

『イタイ』


無数の声が、救いを求めてくる。

それが響き渡って、身体の中で反響するかのように。

「千霧様……!」


肩で苦しげに呼吸をする主を支えるが。

異形の声が千霧にかける負担だけは為す術がなく、彼はただ、己に苛立ちながら見守ることしか出来なかった。

千霧はうなされながら、あの白昼夢の少年の声を聞いた。


「……怖い?」


少年はあの時の質問を、再び千霧に問う。

不思議と、痛みが和らいだ。


「怖いよ。とても、怖い。私は、自分の背負ったものの重さを知ってしまったから」

「では貴方の背負ったものは、自分を犠牲にしてまで守りたいもの?」

「……そうだよ。そのくらい、大切なんだ」


千霧は少年に告げることで、己の覚悟を確認した。

迷いなどなかった。


「貴方の答え、しかと聞かせていただきました」


いつの間にか、仮面をつけた少年が千霧の前に立っていた。


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