深紅の花に姫君《改装版》
「何、その顔。ちょームカつく!」
ジルドはむくれながらも、私から手を離さない。
「仕方ない、スイランの言う可能性を信じてやってもいいけど?でも、失敗したら、あんたの血、根こそぎ吸うから♪」
いつもの調子を取り戻したジルドに、私は笑った。
「ありがとう、あなた達の信じる可能性、絶対に叶えてみせるから!」
私はジルドの手を握りしめ、今度は皆を見つめた。
「皆、城にとらわれてる人達を救いだしてほしいの」
「それなら、地下牢に繋いであるよ。もともと、食糧にする予定だったからね」
ジルドはポイッと牢の鍵をジェイドに投げる。
「それはいいけど、姫サンはどうするんですか?」
ジェイドの言葉に、私は頷く。
「私は、ヴラドの元へ行きます。スヴェン、あなたは城下町へ。騎士達の統率を頼みます」
「スイラン姫………決めたのか」
スヴェンの言葉に、静かに頷いた。
「そうか………スイラン姫なら、やりとおせるって信じてるさ」
スヴェン………信じてくれて、ありがとう。私は笑顔を浮かべ、今度はレインを見つめる。
「レイン」
「あぁ」
レインは何かを悟ったように頷いた。
「最期まで、お前についていく」
悲しげに笑い、私の隣に立つレインに、私も泣くのをこらえ、笑みを返した。