ひめごと。
これでなんとか笑っているように見えるはずだ。そう自分に言い聞かせ、谷嶋とハルに笑顔を向けた。
……それなのに、谷嶋の表情はますます曇っていくばかりだ。
どうやら、安心してもらおうと意図した春菊の微笑みは、見事に失敗したらしい。
微笑みさえも上手くできないなど、お客の接待をしなければならない娼妓として失格だ。自分はどこまでも役立たずな人間なのだと、春菊は自分自身を戒めた。
「おハル、ここはいいから食事の用意をお願いするよ」
谷嶋がそう言うと、ハルは素直に頷き返した。
それでもハルは、春菊を気遣い、目配せをしたあと、彼女はこの場を去っていった。
残されたのは、春菊と谷嶋だけ――。
ふたりきりになるのが久しぶりで、正直何をどうすればいいのか戸惑ってしまう。
いや、それだけではない。谷嶋は仕事がある。彼は、こんな役立たずな自分のことで時間を潰すような気楽な身分ではないのだ。