空のギター
「どうしたんだね山内君。あの子達が何かやらかしたのか?」

「い、いえ!あの、違うんですが……先日のイベントの件はご存知ですよね?」

「あぁ、トリスタのファンに中断されそうになったって話だろう。まさかあちらさんから連絡があったのか?」



 勘の鋭い高藤に、硝子は「はい、お二人のマネージャーから彼らが謝罪したいと……」と答える。自分の思った通りだったと分かり、高藤は小さく唸った。



「そうか……山内君。先方には、五人の都合の良い日を聞いてからまた連絡すると伝えなさい。
なぁに、我々が焦る必要はない。あの子達にとったら、他のアーティストとの交流を通して自分達を見直す良い機会だよ。きっと喜ぶんじゃないか?彼らとの対面を。」



 温かな笑顔が想像出来る優しい口調だった。硝子は頷き、「分かりました」と言って再び工藤に電話を繋いだ。先程の高藤との会話を伝えると、工藤は朗らかな声で「二人が喜びます」と言う。お礼の言葉を告げて電話を切った彼。硝子は小さく息をついた。



「やれやれ……昔は他社のアーティストと関わるのはご法度だったのにね……」



 変わりゆく芸能界に微笑を浮かべ、硝子は席を立った。
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