空のギター

「Quintetの皆さん、素晴らしい歌をありがとうございました！では、出演者の皆さんの“思い出のクリスマス”についてお伺いしたいと思います!!」



　中１までサンタを信じていたというHiroの暴露、昨年のクリスマスにアメリカのスクールで友人達とやったダンス発表会が印象に残っているという織春、高３のクリスマスに彼女へピアスをプレゼントしたという和洋の話などを聞き、観客は大いに盛り上がっている。

　その内司会者が、会場へ着いた時に渡された紙を手元に準備するようアナウンスした。紙には番号が書かれており、どうやらイベントで使うために配布されたようだ。



「これから織春さんが、ボックスの中から一枚だけ紙を引いてくれます。その紙に書かれたものと同じ番号の紙を持っている方が、出演者の皆さんに歌のリクエストをすることが出来るんです！
どなたにリクエストなさっても結構ですし、全員で一曲歌って欲しいというのでも構いません。皆さん、考えておいて下さいね！では織春さん、お願いします!!」



　司会の女性に言われ、織春が箱の中へ手を突っ込む。祈るような沢山の視線が彼女に注がれる。織春は箱をガサガサとやり、遂にその手を高々と空へ掲げた。