空のギター
「あんた達、一年間よく頑張ったわね。でも、大変なのはこれからよ。今日はファンや周りの皆さんに感謝して、帰宅したら月末のイベントの準備もすること!
来月は新曲のレコーディングもあるわよね。しっかり頼むわよ!」



 硝子の厳しい言葉にも慣れたもので、五人は「はーい!!」と返事する。彼女は満足げに、ニコリと笑って頷いた。



「……あ、そうそう。六日後のホワイトデーのことを言ってなかったわね。ファンクラブ会員の皆様にグリーティングカードを送ることになってるの。本当は全部手書きが望ましいんだけど、そういう訳にもいかないでしょう?
だから、あんた達に書いてもらった原本をカードにプリントしていくことにして、それを今日書いてもらいたいのよ。今から談話室の隅っこで考えてきてね。」



 硝子に言われ、全員が首を縦に振った──その時。雪那が突然「あっ!」と叫び、みんなの注目を集める。



「俺、ちょっと家に帰ってくる!メッセージは向こうで考えてきてすぐ戻るから、みんなここに居てね!!」



 疾風の如くその場から立ち去った雪那。「あいつはほんっとに……」と言って溜め息をついた頼星に続き、みんながクスリと笑った。
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