空のギター
 Kouyaが言うと、再び祝福の声がかかる。SetsunaとRaiseiは、小さく笑んでお礼の言葉を返した。「二人から何かコメントないの?」とKazami。先にRaiseiが口を開いた。



「えー……受験には受かったけど、まだ卒業するって実感はないな。とりあえず皆さん、今日のライブを楽しんで下さい。」



 照れからか軽く流すRaiseiに、会場からはクスクスと笑みがこぼれる。「Setsunaは?」と尋ねるKazamiに、彼は笑って答えた。



「やっと高校生になれるから嬉しいよ!それと今日は、神保高校のみんなのために、普段あまり使わない大切なギターを持ってきました!!」



 そう言ったSetsunaが高々と掲げたのは、涼しげで爽やかな輝きを放つ、水色のギターだった。聞けば、昔家族がプレゼントしてくれたものなのだと言う。



「あー……お前、オーディション以来それ使ってなかったよな。どんだけ過保護なんだよ。」



 Raiseiがニヤリとして言えば、Setsunaは「過保護で結構!」と返す。そう言って笑うSetsunaに、もうあの頃の面影はない。姉の死をしっかりと受け止め、姉より年上になってしまう自分を受け入れようとしているように思われた。
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