空のギター
「分かってるくせに聞くんだね、頼星は。“これ”使うに決まってんのに!」
「……まぁ、俺だって“これ”しかねぇけどな。」
雪那が肩にかけたギターケースを指差して微笑めば、頼星も同じくベースの入ったケースを指差して言った。二人は視線を合わせて笑む。お互いの“ステージ”が気になって仕方ないのだろう。その目には好奇の輝きが宿っていた。
──と、その時。「あれー?君達中学生?」という声が二人の耳に飛び込んできた。声のする方には、長身の高校生らしき少年が立っている。
「はい、そうです。」
無言で相手を睨む頼星に代わって雪那が答える。すると少年は、雪那の顔をじっと見てこう言ったのだ。
「君、女装を売りにしてる事務所行った方が良いんじゃない?そっちの方がウケそうだし。」
「……はぁ!?」
二人は同時に叫び、頼星は少年に掴みかかろうとする。雪那は慌ててそれを止めた。自分のために怒ってくれているのは嬉しかったが、こんな奴に取り合うのは時間の無駄だし、万が一怪我をさせてしまっては一大事だと思ったからだ。雪那が目で“やめろ”と訴えると、頼星は一旦踏みとどまった。
「……まぁ、俺だって“これ”しかねぇけどな。」
雪那が肩にかけたギターケースを指差して微笑めば、頼星も同じくベースの入ったケースを指差して言った。二人は視線を合わせて笑む。お互いの“ステージ”が気になって仕方ないのだろう。その目には好奇の輝きが宿っていた。
──と、その時。「あれー?君達中学生?」という声が二人の耳に飛び込んできた。声のする方には、長身の高校生らしき少年が立っている。
「はい、そうです。」
無言で相手を睨む頼星に代わって雪那が答える。すると少年は、雪那の顔をじっと見てこう言ったのだ。
「君、女装を売りにしてる事務所行った方が良いんじゃない?そっちの方がウケそうだし。」
「……はぁ!?」
二人は同時に叫び、頼星は少年に掴みかかろうとする。雪那は慌ててそれを止めた。自分のために怒ってくれているのは嬉しかったが、こんな奴に取り合うのは時間の無駄だし、万が一怪我をさせてしまっては一大事だと思ったからだ。雪那が目で“やめろ”と訴えると、頼星は一旦踏みとどまった。