私の王様
「お久しぶりです、東大寺さん」
「ああ、八代(ヤシロ)さん。お久しぶりです」
にっこり、と美香に笑いかける。
だからその態度の差は何!?
「この子とお見合いしたんですってね?」
「ええ、もうすぐ正式に婚約です」
にこやかに言う彼に溜め息が出る。
やっぱり、そうなるよね‥‥
自分が望んだはずなのに、胸が痛む自分に呆れる。
「まあ彼女次第、ですが」
ちらりと私に視線を向けられて、どくん、と胸がはねる。
賭けのこと、か‥‥
「がんばってくださいね」
にっこり笑って美香が言う。
‥‥どういう意味だろう?
「ありがとうございます。では、彼女もらっていきますね」
はい?
「ええ、どうぞ」
み、美香っ‥
ひらひらと手を振る親友に見送られながら、彼に引きずられるようにその場を後にした。