俺様上司は、極上の男!?
「そうやっていつまでも張り詰めてると、またぶっ倒れるぞ。ひとつ終わったら切り替えて休息」


諭されるけれど、私から見たら、櫟課長の方がよっぽど休んでないように見える。
今日のイベントレッスンだって、庶務雑務を随分調整して駆けつけてくれたみたいなんだけど。


「課長」


「なんだ?」


「いつか、この会社を辞める日が来ますか?」


「なんだ出し抜けに」


課長が片眉をしかめ、変な顔をしている。

最近課長は以前より表情が豊かになった。
それが私のせいだなんて、おこがましいことは言わないけれど、彼の中でこだわりが薄れてきているのかもしれない。

ミサキガワにこだわる暗い気持ちが減れば、彼は昔の仲間たちのところへ行けるんじゃないだろうか。


「こうやってひとつ仕事が片付く度、課長の会社への未練が無くなっていってる気がします。そしたら、次の道を見つけるのかなぁって」


「そんなに簡単じゃないさ」


課長は呟いた。少し微笑んで。

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