腹黒王子の取扱説明書
「麗奈さん、贅沢すぎです。他の女性社員に殺されますよ。私の担当の常務なんてもうおじいちゃんなんですからね。加齢臭がすごくて、毎日消臭スプレーするんですから」

可愛い顔して私に力説するのは入社三年目の井川美月ちゃん。

おじいちゃんの常務と二人並ぶと彼女は本当の孫のようだ。

「……常務は優しくて好きだけど、加齢臭はちょっと嫌だね」

私は苦笑する。

「専務は格好いいし、良い匂いしそうじゃないですか?」

美月ちゃんが嬉々とした顔になる。

俊の匂い……。

そう言えばキスされた時、爽やかなシトラス系の匂いがほのかにしたような。

ああ~、ダメダメ‼

何で俊とのキスなんか思い出すのよ。

私はブンブンと頭を振る。

「麗奈さん?どうかしましたか?」

美月ちゃんが私の顔を覗き込む。
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