腹黒王子の取扱説明書
「嘘だよ」

俊はフッと笑ってドアの向こうに消えた。

……からかわれた。

私に対して意地悪なところは何も変わってない気がする。

昨日、医務室を抜け出して強引に俊に食事に連れていかれた。

私が病み上がりと言う事で、個室でうどんすきを食べたけど、会社に戻ると今みたいな調子だし。

何がやり直そうよ!

全然懲りてないじゃない。

夜の会食まで同席させるし、横暴もいいとこだ。

夜のバイトに行かせないようにしてるんだろうけど……残業代出るんだろうか?

今日もバイト……行けそうにないな。

後で伯母さんにメールしとこ。

秘書室に戻ると、杏子が笑顔で迎えた。

「どう?上手くいきそう?」

「……総務課の仕事の方がマシな気がする」

私は溜め息交じりの声で言う。

あんな部長だったけど、いないと思って仕事すればそれなりにやりやすかった。
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