腹黒王子の取扱説明書
今度は俺か。

俺は悪戯っぽく笑って見せる。

すると、麗奈は俺の腕の中で悪態をつき始めた。

「腹黒で、我が儘で、駄々っ子で、甘えん坊で、悪魔で、…外面だけよくて……意地悪で……かっこ良すぎ……で……ムカつく……」

お経のように長い俺への悪態。

聞いてて腹が立つと言うよりは笑ってしまう。

「麗奈……?」

声がしなくなって、麗奈の顔を覗き込むと彼女は目を閉じていた。

もう寝た?

試しにもう一度声をかけてみる。

「麗奈?」

「う……ん」

返事らしきものはあっても目を開ける様子はない。

数秒後には彼女の静かな寝息が聞こえてきた。

「ほんと、無防備過ぎ」

クスッと笑いながら彼女の寝顔をしばし見つめる。

眠ってくれてホッとした。
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