腹黒王子の取扱説明書
しかし、あの悪態……。

「全部、俺への愛の告白に聞こえるんだけど」

そう思うのは都合が良すぎるか……。

「今は何もかも忘れてぐっすりお休み」

夢も見ずにぐっすり寝て欲しい。

俺は優しく囁き、麗奈の髪にそっと口付けた。

それから、三時間後に戻ってきた麗奈の弟が俺達の姿を見ると一瞬表情を変えたが、すぐに気を取り直して言った。

「僕が父といるので、俊さん達は隣の部屋でゆっくり休んで下さい」

俺に向かってにっこり笑うその顔は、一見無邪気のように見えてなかなか強かだ。

今はどこか値踏みするような目で俺を見て、悪魔のように微笑む。

「何かあったら責任取って下さいね。姉さんを泣かしたら僕が許しませんよ。僕が弁護士になったら社会的に抹殺しますから」

「……社会的に抹殺…ね」

……こいつ、俺に似てるかも。

苦笑しながらそう思った。
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