腹黒王子の取扱説明書
誰が寂しいなんて思うか。

顔を見なくてむしろ清々する。

「久々の自由を満喫させてもらいます。もう、会食に同席するのもうんざりなんです。私を使って見合いを避けないで下さい」

「お披露目のつもりだけど」

お披露目って何のよ!

私はキッと俊を睨み付ける。

「余計悪いです。みんな本気にしたらどうするんですか?弟の海里だってなんか変な誤解してるし」

父の葬儀の時も、海里は急にいなくなって私と俊を二人だけにするし、「俊さんなら義兄になってもいいよ」と訳のわからない事を言い出すし。

それに、何で毎週海里と俊の三人で食事するの?

最近では、二人で何か企んでるような気がする。

海里にもホステスのバイトはもうしないと約束させられたし……。

「誤解じゃないよ。外堀を埋めてるんだよ」

俊が私の顔を見て面白そうに目を光らせる。
< 205 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop