腹黒王子の取扱説明書
「何の外堀ですか?私はあなたの玩具じゃないんですからね!」

この男は、もう!

私が困る姿を見て楽しんでるんだ。

「ねえ、もう会議の時間なんだけど」

俊が不敵の笑みを浮かべながら、自分の腕時計を指でトントンと叩く。

「うっ……、もういいです!会議室Aに早く行って下さい」

もっと文句を言いたいとこだけど、時間が来たのなら仕方がない。

でも……時間まで俊に味方するなんて狡い。

「了解。承認の必要な書類は処理してトレーに入れておいたから、後は頼むよ」

急にクールな表情になり、俊は上司の顔になる。

私をからかっていても、仕事はしっかりやるのだ。

この完璧さが逆に腹立たしい。

「……はい」

俊が椅子から立ち上がり、部屋を出ていこうとする。

「それから……」

ドアノブに手をかけ、俊が突然振り返った。
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