腹黒王子の取扱説明書
温もりも伝わらない。

「こんな時に出張でごめん」

俺はただ謝る。

『……仕事ですから仕方ないです。謝らないで下さい』

「聞き分けが良すぎるよ。本音を言った方が良く眠れると思うけど。怖くて眠れないんじゃない?」

『ちゃんと……ちゃんと、一週間で帰って来ますよね?』

麗奈がためらいながらも、何かにすがるように俺に聞いてくる。

こんな彼女は初めてだ。

「帰るよ。だから、うちで待ってて」

『……たいして役に立たないけど、私も出張に同行すれば良かった』

麗奈がクスッと笑う声が聞こえたが、なんだか様子がおかしい。

……泣いているのだろうか?

「怖いの?」
< 247 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop