腹黒王子の取扱説明書
「結婚指輪は今日仕事終わったら買いに行くから」

にっこり微笑む俊を見て、胸が幸せで一杯になる。

その後、二人で出勤すると、なぜか杏子に呼ばれ、あれよあれよと言う間に俊と一緒に社長室に通された。

社長室にはすでに先客がいた。

「海里に……叔母さん……何でここにいるの?」

私が唖然としていると、横にいた俊がクスッと笑って説明する。

「俺が呼んだんだよ。今日から俺達親族だから」

私が婚姻届記入する前にみんなに予定させておくなんて……。

私がサインするの確信してたんだよね。

ははは、と乾いた笑いが込み上げてくる。

……もう驚きもしない。

これが私の旦那様なのだ。

「婚姻届はさっき無事に提出を済ませました」

俊がみんなに報告すると、この場にいたみんなが拍手をして祝福してくれた。
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