腹黒王子の取扱説明書
なんだか身体が熱っぽい気がするのは気のせいだろうか?

今朝も結構寒かったから風邪引いたのかもしれない。

四月とはいえ、まだ朝と夜はコートが手放せない。

あんな袖のないドレスでいれば、そりゃあ風邪引くわよね。

今日は夜のバイトは休んだ方がいいかもしれない。

お茶でも入れて一息つこうとすると、また私の席の内線が鳴った。

トイレの次は何?

嫌な予感がする。

ゆっくり受話器に手を触れて、電話に出る。

「総務課の中山です」

「十階の第三会議室の長い電球が切れちゃって、十一時から会議なの。すぐに交換してくれない?」

十一時……。

あと十五分じゃない!

かけてきたのは秘書室の女の子だった。

多分、担当する役員が出席する大事な会議があるのだろう。

「今行きます」

溜め息をつきながら電話を切ると、隣の席にいた同期の寺沢君に声をかけた。
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