腹黒王子の取扱説明書
ガシャンという嫌な音がして、次の瞬間、手に激痛が走る。

割れた電球の破片が手首に突き刺さった。

「痛い‼……でも、これじゃあ、間に合わない……」

手からじわじわと血が流れる。

止血もせず痛みを堪えながらまた脚立に登ろうとすると、専務に手を捕まれた。

「君は馬鹿か」

冷ややかな口調でそう言うと、専務は軽く溜め息をついて私の手首をハンカチで止血しようとする。

もう私の事は放っておいて欲しい。

「離して!」

私は専務の手を振り払ってまた脚立に手を伸ばした。

この時、私は高熱でおかしくなっていたんだと思う。

「早くしないと、会議に間に合わないの」

うわ言のように呟いて脚立をつかむと、突然専務に抱き上げられた。

「ちょっと!何するんですか?下ろして下さい」

私は専務の胸板を何度も叩いて抗議する。
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