腹黒王子の取扱説明書
脚立を立てて、パンプスのまま上に登る。

ちょっとぐらぐら揺れるけど、気にしてはいられない。

早く交換しないと、会議が始められない。

せめて内線をかけてきた子がいたら、もっとスムーズに出来るのに……。

天井の電球に手を伸ばし、両手でそっと外す。

取れたと思った瞬間、今一番会いたくない人と目が合ってしまった。

何でこのタイミングでドアの方なんか見ちゃったんだろう。

「あっ‼」

思わず声が出る。

会議室のドアの近くに専務と須崎さんがいた。

こんな時に会うなんて今日は厄日なの?

脚立の上にいたのに、とっさに専務から隠れようとした私は馬鹿だったと思う。

「動くな!」

専務が私の方に駆け寄りながら叫ぶ。

ただでさえヒールの靴で不安定だったのに、脚立がグラグラ揺れて、私は電球を持ったままバランスを崩して脚立から落ちた。
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