腹黒王子の取扱説明書
非の打ち所のない綺麗な顔。

男性なのに睫毛も長くて、肌も綺麗。

ここまで綺麗だと、近くにいるだけで落ち着かない。

自分の顔が余計に貧相に思える。

やはり芸能人みたいに遠くで眺めている方がいい。

「僕の顔に何かついてる?」

じっと見ていたのがバレたのだろう。

専務はクスッと笑いながら、私の瞳を覗き込んだ。

この人……自分の魅力を熟知してるな。

「…いいえ」

私は頬を赤く染めながら、専務から視線を逸らした。

そんな私達を杏子と須崎さんは冷ややかに見ている。

「早く食べないとパスタ冷めちゃうよ」

専務は優しい口調でそう言うと、スーツのジャケットを脱いで椅子の背もたれにかけ、須崎さんと一緒に食券を買いに行った。

もうなんだか胸が一杯で食べる気にはなれない。

あの笑顔見ただけでお腹一杯って感じ。
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