腹黒王子の取扱説明書
「麗奈、何ボーッとしてるの? まさかあんたまで兄さん狙い?」

「まさか。分不相応だし。観賞用だよ。一緒にいても落ち着かないしね。私は一緒にいて安心出来る人がいいの」

こんなにドキドキしてたら心臓が持たないし、旦那さまにするならもっと身近な人がいい。

それに、今はそんな夢を抱いている場合じゃない。

私はブンブンと頭を振る。

「今時、分不相応なんて古いわよ」

杏子がクスッと笑う。

でも、やっぱり専務とか須崎さんは私とは住む世界が違う。

背伸びして恋をしても疲れるだけだ。

「だって、専務がこたつで鍋とかつつく? 毎日フレンチ食べてそうじゃない?」

「まあ、確かに実家にはこたつないし、今住んでるマンションにもないでしょうね。でも……」

杏子の顔が何故か強張る。

「毎日、フレンチは食べないよ」

私の背後から低くて甘い声が響く。
< 7 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop