腹黒王子の取扱説明書
「会社の給料も、ホステスのバイト料も男に?」

だが、俺は言うのを止めなかった。

「だから…違います」

中山麗奈は悔しそうにぎゅっと唇を噛み締める。

「良かったね。ヒモがいるのなら、彼に看病してもらえば」

俺は冷たい口調で言う。

やはり男に貢いでいたか。女なんてみんな同じだ。

そう思うと、自然に声も氷のように冷たくなる。

大事な彼と一緒に落ちるとこまで落ちたらいい。

「……だから、違います。何度言えばわかるんですか……」

中山麗奈は身体がもう限界だったのか、力なく玄関に座り込む。

「いずれにせよ、俺には関係ないけど。お大事に」

中山麗奈を見ていると、何となくイライラする。

素の自分で接してしまう。

彼女を視界から追い出したくてバタンとドアを締め、通路をスタスタと歩く。

エレベーターの前まで来ると、若い男の声がした。
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