腹黒王子の取扱説明書
今から会社に行くのは無理だし、専務のパソコンを使わせてもらえないだろうか。

千田部長の代わりに出張申請の承認をしておかないと、社員がチケットの手配が出来なくなる。

そんな事を考えていると、専務が私の着替えとタオルを持って戻ってきた。

「私の着替えがどうしてここに?」

自分で用意した記憶なんてない。

ひょっとして専務がうちのタンスとか開けたの?

「君の弟が用意してくれたんだよ」

海里が?

まさか下着まで?

考えただけで頭が痛いし、恥ずかしくて一気にまた熱が上がりそう。

「俺が用意するよりマシでしょう?」

私の考えが読めるのか、彼はフッと微笑する。

「でも……」

「そんな事はいいから、早く着替えるよ」

専務が私のパジャマのボタンを慣れた手つきで外していく。
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