ブラッディ ショコラ

そんなことを考えていたら、ふいに先輩の顔が近くなった。驚く私を見て、ふっと笑う先輩。雰囲気で、何かを察した私。

次の瞬間、先輩と私の唇がふわりと重なった。元気づけるようなキス。先輩の人柄が伝わってくる。

「ほ、ほら、風邪って誰かに移すと治るっていうじゃん。」

先輩は言い訳みたいに言った。
私が体調を崩していると思っている先輩は、突然キスしてしまったことを、弱みにつけ込んだようで悪いと思っているのだろうか。

恥ずかしさからなのか、少し視線をずらした先輩。

先輩の顔をみたら、ふいにさっきの唇の熱を思い出し、急に恥ずかしくなり、うつむく私。


カーテンで仕切られた空間に、淡いピンク色をした空気が流れる。
静寂の中、自分の心臓の音だけが響く。


しばらくして、その静寂を打ち破ったのは、私でも先輩でもなくて、休み時間終了を伝えるチャイムだった。

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