無理矢理繋いだ赤い糸


俺は座ったままの沙希の腕を引いて立ち上がらせて、腰を抱き寄せて隣に立たせると、そのまま頭の後ろに手を伸ばして髪を撫でながら俺の方へ近寄らせた。



「ちょっと沙希どうなってんの?」
「そうだよ、悠也も!」
「なんで黙ってたのよ」
「なにお前らも聞いてなかったの?」
「そうだよ!酷くない?彼氏の話は散々聞いたけど、それが悠也くんだなんて一度も言わなかったし」
「俺らだってそうだよな?」
「おう。幾ら彼女に会わせろって言っても、のらりくらり誤魔化してばっかりでよ」


沙希の女友達と俺の男友達。
まるで意気投合したみたいに、ここぞとばかりに非難轟々で。



「だ、だって、あんなに嫌ってたのに付き合ってるとか恥ずかしいじゃない」
「は?秘密にしたいって、そういう事だったのかよ?」
「そりゃそうだよ……恥ずかしくて今更言えないでしょ?」
「へぇ……ちっとも知らなかった…」

真顔でそんな事を言う沙希に呆れて、帰ったら覚えとけよ、と奥歯をギリッと噛み締めた。



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