神様がくれた宝物

 「あの―――…」





 顔の上に乗っている本を取ろうと、手を伸ばしたその時だった。


 彼の手は、あたしの手の気配に気づいたのか、思い切りつかまれて引っ張られた。





 「え…わっ、ちょっ…!」





 引っ張られた拍子に、あたしは彼の上に乗るような状態に。


 そしてその時初めて、その男子の顔を見ることができたのだ。


 真っ黒な髪に白い肌。


 透き通るような色の瞳。


 その瞳は、濡れていた。



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